先生&生徒のつぶやき
2024.12.18
利他的偉人伝④「マザー・テレサ~ローマ教皇も認めたコルカタの聖人~」
執筆者:教諭 藤原 彰将
マザー・テレサ(本名:アグネス・ゴンジャ・ボヤジオ)は、1910年、現在の北マケドニアであるスコピエのアルバニア系家庭に生まれました。
彼女は18歳でカトリック教会の修道女となり、アイルランドのロレト修道会に入会。その後、インドのカルカッタ(現コルカタ)に派遣され、修道院で教職に就きました。
しかし、彼女の人生を大きく変える出来事が1946年に訪れます。
列車で旅をしている最中、「最も貧しい人々とともに生き、彼らを助けるように」という神の召命を受けたのです。
この体験をきっかけに、修道院の生活を離れ、カルカッタのスラム街で活動を開始しました。
1950年、マザー・テレサは「神の愛の宣教者会」を設立しました。
この組織は、貧困層や病気に苦しむ人々への支援を目的とし、特に「死を待つ人の家」という施設が象徴的な活動となりました。
この施設では、路上で見捨てられた病人や死期の迫った人々を受け入れ、尊厳を持って最後の時間を過ごせるようにケアを行いました。
マザー・テレサが最初に救ったのは、路上で半死半生の状態だった女性だったそうです。
その女性を自らの手で運び、施設で世話をし、亡くなるまでそばに寄り添ったといいます。この経験は、彼女の活動がビジネスライクな慈善事業ではなく、無償の愛に基づくものであることを象徴しています。
マザー・テレサの活動は世界中で称賛され、1979年にはノーベル平和賞を受賞しました。
彼女は受賞スピーチで「愛の反対は憎しみではなく無関心です」と述べ、物質的な貧しさだけでなく、精神的な孤独や疎外感もまた大きな問題であると強調しました。
一方で、彼女の活動には批判もありました。
例えば、施設の運営方針が非効率であったことや、末期患者へのケアが十分ではないとの指摘もありました。
しかし、マザー・テレサはこうした批判を受け止めつつ、自らの使命を貫き通しました。
1997年に87歳で亡くなった後も、彼女の設立した「神の愛の宣教者会」は世界中で活動を続けています。
彼女が残したのは、ただ物質的な援助ではなく、「人は愛され、尊重されるべき存在である」という普遍的なメッセージでした。
マザー・テレサはこんな言葉を遺しています。
「私たちは偉大なことを成し遂げる必要はありません。ただ小さなことを、大きな愛を持って行えばよいのです。」